JID 2025で広がるBIM・3D都市モデルの可能性|PLATEAU STARTUP Pitch 03にMINECLEが登場
- 日本BIM協会

- 2025年2月28日
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更新日:3 日前

建築・都市分野におけるデジタル技術の活用が進む中、BIMや3D都市モデルなどのデジタルデータを、実際の業務やまちづくりにどのようにつなげていくかが、重要なテーマとなっています。
2025年2月28日、「JID 2025 by ASCII STARTUP」において、国土交通省が推進する「Project PLATEAU」の取り組みの一環として、「PLATEAU STARTUP Pitch 03」が開催されました。
今回のピッチでは、建築、不動産、自動運転、都市景観、GISなど、さまざまな分野でPLATEAUの3D都市モデルを活用する企業・スタートアップが登壇。それぞれの現場課題に対して、3D都市データをどのように活用し、新たなサービスや価値につなげているのかが紹介されました。
峰設計株式会社からは、代表取締役であり、一般社団法人日本BIM協会代表理事を務める崔峰云氏が登壇し、BIMとPLATEAUを組み合わせた不動産販売ツール「MINECLE(ミネクル)」を紹介しました。
PLATEAUが広げる3D都市モデルの可能性
「Project PLATEAU」は、国土交通省が地方公共団体や民間企業、地域コミュニティなどと連携しながら推進する、3D都市モデルのオープンデータ化プロジェクトです。
PLATEAUの3D都市モデルは、建物の形状だけではなく、用途や構造、建築年などの属性情報も含む構造化された都市データとして整備されています。また、オープンデータとして公開されていることから、さまざまな企業や団体がこれを活用し、新しいサービスやソリューションの開発につなげています。
今回の「PLATEAU STARTUP Pitch 03」では、こうした3D都市モデルの特徴を生かした、さまざまな実践的な取り組みが紹介されました。
単に都市を3Dで「見る」ためのデータではなく、設計、都市計画、不動産、自動運転、景観形成、行政業務など、それぞれの分野が抱える課題を解決するための基盤としてPLATEAUを活用する事例が示されたことが、今回のピッチの大きな特徴です。
建築・都市環境評価のDXに取り組む大林組
株式会社大林組からは、上田博嗣氏が登壇し、PLATEAUを活用した都市環境評価プロセスのDXについて紹介しました。
従来、風環境や日照、眺望などの都市環境評価では、専用のモデルを作成するなど、多くの手作業と専門知識が必要とされていました。
そこで、PLATEAUを都市形状データベースとして活用し、対象エリアや必要な項目を指定することで、シミュレーションに必要なデータを取得できる仕組みを構築。
さらに、3D都市モデルから地物データを自動的に抽出し、都市模型の制作やCFD(数値流体力学)による検証にも活用することで、従来時間のかかっていた都市環境評価の効率化・高度化を目指しています。
PLATEAUとシミュレーション技術を組み合わせることで、建築計画における検討サイクルそのものを変えていく可能性が示されました。
BIM×PLATEAUで不動産販売を変える「MINECLE」
峰設計株式会社からは、崔峰云氏が「MINECLE」を紹介しました。

MINECLEは、BIMで作成した建築モデルをPLATEAUの3D都市モデル上に配置し、建物の外観だけでなく、各住戸からの眺望や採光、周辺環境などを立体的に確認できる不動産販売ツールです。
さらに、室内の家具配置や壁・床の色などを変更しながら、購入検討者が実際の暮らしをイメージできる環境を提供します。
従来の2D図面や画像だけでは伝えにくかった「その建物が周辺環境の中でどのように見えるのか」「その部屋からどのような景色が見えるのか」といった情報を、BIMと3D都市モデルによって直感的に共有できる点が特徴です。
今回の紹介を通じて、BIMで作成した建築データを都市データと組み合わせることで、不動産販売だけでなく、設計品質管理、企画・開発、環境シミュレーション、維持管理など、さまざまな領域へ活用を広げられる可能性が示されました。
自動運転のシミュレーションを支えるPLATEAU
アダワープジャパン株式会社からは、安谷屋樹氏が「PLATEAU Autoware Simulator」を紹介しました。
これは、自動運転ソフトウェア「Autoware」とPLATEAU、Unityを組み合わせた自動運転シミュレーターです。
自動運転の実用化に向けては、安全性を確認するための実車テストが欠かせない一方、実際の道路でのテストには多くの時間とコストが必要となります。
PLATEAUの3D都市モデルを活用することで、現実の都市環境に近いシミュレーション環境を構築し、実車テストを補完することが可能になります。
都市のデジタルデータを活用することで、自動運転という建築・都市分野とは異なる領域にも、新たな活用可能性が広がっていることが分かります。
3クリックで建築可能な規模を検証する「でべごっこ」
株式会社くわやの桑原遼介氏は、3D都市モデルを活用したアプリ「でべごっこ」を紹介しました。
建築計画では、用途地域や法令、斜線制限など、さまざまな条件を確認する必要があります。
「でべごっこ」では、建築を検討する敷地を選択することで、適用される法令などを確認し、建築可能なボリュームを短時間で検証できます。
これまで専門家への外注に依存していた一部の確認作業をデジタル化・内製化することで、不動産事業者などの業務効率化やコスト削減につなげることが期待されています。
3D都市モデルを「都市を見るためのデータ」から「建築計画を検討するためのデータ」へと発展させる事例として、PLATEAUの実務活用の広がりを感じさせる取り組みです。
景観まちづくりを支援する3Dシミュレーション
株式会社シナスタジアからは、宇野修太郎氏が「景観まちづくり支援ツール」を紹介しました。
ゲームエンジンとPLATEAUの3D都市モデルを組み合わせ、天候や時間帯による景観の変化、建物の色彩変更、植栽や道路標示などを3D空間上でシミュレーションできるツールです。
また、BIMモデルやGISデータの読み込みにも対応し、高さ規制や歩行者からの見通しなどを3D空間上で確認できる機能も備えています。
自治体による住民への景観計画の説明や、建築・開発事業者による計画検討など、専門的な情報を分かりやすく共有する手段として、3D都市モデルの活用が期待されています。
WebGISによる都市データの管理・活用
株式会社ユーカリヤからは、山本義孝氏がWebGIS「Re」と「PLATEAU VIEW 3.0」における取り組みについて紹介しました。
「Re」は、ノーコードでGISを利用できるWebベースのプラットフォームであり、プラグインによる拡張性も特徴としています。
さらに、PLATEAUをはじめとする大規模な都市データを管理・配信するためのCMSを開発し、自治体職員などの非エンジニアでも、複数のデータを重ね合わせながら分析やシミュレーションを行える環境を構築しています。
PLATEAUのデータを「整備する」だけではなく、「管理し、必要な人が使い、他のサービスへつなげる」という視点から、都市データの社会実装を支える取り組みとなっています。
共通して見えてきた「データを活用する」という視点
今回登壇した6者の取り組みは、それぞれ対象とする業界や課題が異なります。
都市環境評価、自動運転、不動産開発、建築ボリュームの検証、景観まちづくり、GISによる都市データ活用など、一見すると異なる分野に見えますが、共通しているのは、3D都市モデルを単なる「3Dデータ」として扱うのではなく、現実の業務や社会課題を解決するための基盤として活用している点です。
また、今回のピッチでは、技術そのものだけではなく、それをどのようにビジネスとして展開し、利用者に届けていくのかという視点も示されました。
講評では、株式会社ANOBAKAの長野泰和氏、株式会社デジタルベースキャピタルの桜井駿氏、三菱地所株式会社の橋本裕太氏、国土交通省の十川優香氏が、それぞれのプロダクトについて評価するとともに、ビジネスモデル、収益化、スケール、実際の利用者への展開など、今後の課題についてもコメントしました。
特に、建築や都市など実際の業務課題に向き合うプロダクトが増えていることについて、PLATEAUが新たな段階に入っているとの評価も示されました。
BIMと3D都市モデルがつくる、これからの建築・都市DX
今回のJID 2025への参加を通じて、BIMと3D都市モデルを組み合わせることで、建築単体のデジタル化にとどまらず、都市全体を対象とした新たな活用の可能性が広がっていることが改めて示されました。
BIMによって建物の形状や属性情報をデジタル化し、PLATEAUによって周辺都市環境をデジタル化することで、建物と都市を一つのデジタル空間の中で捉えることが可能になります。
その先には、不動産販売や設計・施工だけでなく、都市計画、景観形成、環境評価、まちづくり、維持管理など、さまざまな分野との連携が考えられます。
日本BIM協会としても、BIMを単なる設計・モデリング技術としてではなく、建築・都市分野のデジタル化を支える基盤として捉えています。
今回の「PLATEAU STARTUP Pitch 03」で紹介された多様な取り組みは、BIMや3D都市モデルがそれぞれの分野を越えてつながり、新しい価値を生み出していく可能性を示す機会となりました。
今後も日本BIM協会では、BIM人材の育成や情報発信、企業・技術との連携を通じて、BIMの普及だけでなく、建築・都市分野におけるデジタルデータの社会実装を推進してまいります。


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