BIMガイドライン第3版とは? 2026年改定の3つのポイントを実務者向けにわかりやすく解説
- 日本BIM協会

- 7月23日
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国土交通省が「BIMガイドライン第3版」を公表
2026年、国土交通省は「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン 第3版」を公表しました。
今回の改定は、単なるガイドラインの更新ではありません。これまでBIM活用は「3Dモデルを作成すること」が中心でしたが、第3版ではBIMを活用したプロジェクト運営へと重点が移りつつあります。
日本BIM協会では、この改定は建築業界全体におけるBIM活用の標準化がさらに進む重要な節目であると考えています。今後は設計事務所だけではなく、施工会社、設備会社、発注者、確認検査機関など、多くの関係者が共通ルールのもとでBIMを活用することが求められます。
本記事では、日本BIM協会の視点から、第3版で押さえておきたいポイントをわかりやすくご紹介します。
この記事でわかること
「建築BIMガイドライン(第3版)」とは何か
国土交通省が事務局を務める「建築BIM推進会議」がまとめたもので、令和8(2026)年3月31日に決定され、7月23日に公開されました。初版は2020年3月、第2版は2022年3月です。
ひとことで言えば、BIMを使うときの「共通ルールブック」。誰が・いつ・何をするのかという標準的な進め方(標準ワークフロー)と、言葉の定義、注意点がまとめられています。対象は主に新築で、規模や用途の限定はありません。大きな建物だけの話ではない、ということです。

用語かんたん解説
BIM(ビム)とは?……建物を、情報ごとパソコンの中に立体でつくる技術。見た目の3Dだけでなく、部材の材料や性能、数量といった中身の情報まで持っているのが特徴です。
標準ワークフローとは?……「誰が・いつ・何を担当するか」の標準的な段取りのことです。
つくったのは、国土交通省が事務局の建築BIM推進会議(2019年設置)
第2版から4年ぶりの改定。7月23日にウェブ公開
規模・用途の限定はないので、小さな案件にも関係する
第3版で変わった、3つのポイント
ガイドライン自身が「改定のポイント」を3つに整理しています。かみ砕くと、次のようになります。

第2版で「宿題」として残されたテーマに答えたこと。どこまで細かく作るかの目安(LOD/LOI)、BIMマネージャーという役割、データの著作権や責任の範囲。どれも実務で「決まっていなくて困る」ものばかりでした。
数あるBIMのルールの「親」になったこと。各団体が出しているガイドラインの上位に第3版を置き、まずここで言葉の定義をそろえます。そのぶん、第2版にあった事例やコラムは外されました。
国際規格「ISO 19650」に寄せたこと。ただ翻訳したのではなく、日本の建築生産のやり方に合う言葉に置きかえているのが特徴です。
実務に効くのは「EIR/BEP」と「CDE」
書き足された中身のうち、実務にいちばん近いのがEIR/BEPとCDEです。アルファベットが並ぶと身構えますが、やっていることは素朴です。EIRは発注者が出す「BIMをこういう目的で、ここまで使いたい」という要望書。BEPは受注者が返す「では、この体制と方法でこう作ります」という計画書。着手前に交わす往復書簡のようなものです。

大切な一文があります。ガイドラインは、発注者からEIRが出てこない場合もあると認めたうえで、それでも受注者はBEPを作ることが必要だと書いています。相手を待たずに、こちらから「こう作ります」と示してよい——そう読める書き方です。
もう一つのCDE(共通データ環境)は、関係者がデータを共有する場所と、その決めごと。データに「作業中・共有・公開・アーカイブ」の4つの札をつけて管理する考え方が紹介されました。「どれが最新版かわからない」という、あの悩みへの答えです。

EIR=発注者の要望書。「BIMをこう使いたい」
BEP=受注者の計画書。「では、こう作ります」。EIRが無くても作る必要がある
CDE=データの共有環境。4つの状態で「いまどの段階か」を管理する
「BIMマネージャー」に、国の定義がついた
宿題になっていたBIMマネージャーも、第3版で定義が示されました。BIMコーディネーター、BIMモデラーとあわせて、3つの役割の名前と担当範囲が並べられています。

見落としたくないのが、添えられた注意書きです。この3つは「専任の職種」ではありません。意匠設計者や施工管理者との兼務がふつうで、小さなプロジェクトでは一人が複数を兼ねることもある、とはっきり書かれています。
🗺️ ポイントは「人を雇うこと」ではなく「役割に名前をつけること」
「誰がテンプレートを決めるのか」「誰が品質を確認するのか」が曖昧だと、気づいた人だけが背負い込みます。名前をつけて分担を見えるようにすることが、属人化を防ぐ第一歩です。
BIMマネージャー:BIM活用の責任者。目的の設定、体制づくり、テンプレートの選定
BIMコーディネーター:実働チームのリーダー。干渉チェックなどの調整と品質の確認
BIMモデラー:実際に作る人。形だけでなく属性情報の入力まで担う
結論:これは「BIMを使う前」のためのガイドライン
第3版は、BIMを使いはじめる前に「言葉」と「役割」をそろえるためのガイドラインです。EIR/BEPで目的を先に書く、CDEでデータの段階を管理する、役割に名前をつける——どれも、着手前のひと手間で手戻りを減らす工夫です。
日本BIM協会では、BIMの普及だけでなく、建築業界全体で活用できる人材の育成を目的として、資格制度、講習会、情報発信などを行っています。
今回の第3版が示した方向性は、日本BIM協会がこれまで取り組んできた「実務で活用できるBIM人材の育成」とも一致しています。
BIMは、ソフトウェアを操作するための技術ではなく、建築プロジェクト全体の品質や生産性を高めるための共通基盤です。
日本BIM協会は、今後も業界の標準化と人材育成を通じて、建築業界におけるBIM活用のさらなる発展に貢献してまいります。


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